« crossing | main contents | a vestige »
2010年03月03日
a memorable flavor
3月3日ともなれば、そこいらにひな祭りの香り。
離れた地で暮らす娘を思う。
その夜、電話が鳴った。泣きじゃくる娘の声だ。
ゆっくりと話を聞き、ゆっくりと話す。
次第に落ち着いて来たようだ。
「俺がそんなときは、そう、とても悔しかったり、
つらい時に、どうするか知っている?」
「こっそりとね、少しの間、外に出てみるんだ。
夜がいいな。カメラを持っていく。なんでもいい。
小さく歌うのもいい。落ち着いてくると、
見えなかったものが見えてくるんだな。
冬は雪の匂いがする。夏は土の匂い、秋はビミョー。
こっちはそろそろ花の香りがしてくるんだ」
「もう大丈夫だね。今日はひな祭りだろ?
いろんなものを見て、思い出していたんだよ」
僕はカメラを持って外へ出た。
posted by daisuke-m : 2010年03月03日 16:25