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2010年09月11日
recommendation: access to life
「命をつなぐ - access to life」展(世界基金/マグナム・フォト)
有楽町朝日クスエア/ギャラリー(有楽町マリオン11階)〜9/22日
マグナムフォトの写真家8人がHIVの現状を知らせるために各地に飛んだ。
僕の頭もずいぶんと錆びているなと思ったのは、僕のHIVに関する情報がかなり古いということ。
アップデートしなきゃならないのは、PCのデータやカメラのファームだけじゃだめだね。
会場は二つに分かれているのだけれど、第一会場から入る。
ルワンダで撮ったジル・ペレスのモノクロームから始まる。
マグナムの奴らの凄まじいところは、例え911の現場を撮っても、その内に佇む
「美しさ」まで表現しきってしまうことだ。
今回もそう。
HIVはもはや死の病とは言われない。タイミングと状況さえよければ、
治癒まではしないものの、慢性病程度になら持って行けるのだと言う。
治療前から治療後数ヶ月までの被写体を丹念に追っている。
むろん、時にはタイミングと状況が悪く、死に直面している写真もある。
HIVの蔓延は貧困と強く結びついているという側面がクローズアップされる。
第二会場のジム・ゴールドバーグが作成したインドのHIV患者のコラージュは
身震いが来るほど刺激的な「アート」であったし、しかしそれでいて
軽々しく思えないのは、恐らく彼がその患者の姿の中に原始的に横たわる美しさと、
その命の重みを、何ものかに昇華させようと覚悟した、圧倒的な気概から来るものだろう。
マリで撮られたパオロ・ペレグリンの写真は、あまりに有名になってしまったが、
やはりその美しさ、いや、荘厳さには言葉を失う。
今、HIVは「死の病気」というステージをクリアしようとしている。
命をつなぐ薬と治療法が開発され、患者には希望が生まれている。
しかし、だから今こそ意識を高めて、その後押しをしなければならない。
そう、今こそ。
「死ぬのだから仕方がないね」と「治るのだったらもういいね」は、
今の世界ではまだ、イコールなんだ。
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「命をつなぐ」http://www.magnumphotos.co.jp/inochi/
「特別寄付キャンペーン」http://www.jcie.or.jp/fgfj/atl/donate/
posted by daisuke-m : 2010年09月11日 11:39